『ウンタマギルー』(1989年)
日本の映画界は1970年代に助手の採用を中止しました。それは邦画が斜陽になって、撮影所のシステムが崩壊してしまったからです。かつての撮影所は上下関係も厳しく、助手で入った若い人が先輩に技術を習い、監督や撮影、編集、美術といったそれぞれの部署で5年から10年修業して、やっと一人前になれた。撮影所は学校みたいなものでした。そのシステムが失われたことで、映画界へ入る道が絶たれてしまった若い人たちがたくさんいました。同時に、撮影所がなくなって映画人も仕事がなくなった。(「邦画の未来を託す映画人を生み出す」 日本映画大学学長・映画評論家 佐藤忠男インタビューより)
沖縄がある種の異界であることを、例えば芸能や音楽の方面からうっすらと感じ取り続けている。
自分が振り返ってもTHE BOOMが沖縄音階に影響を受け「島唄」を作るに至ったことからCOCCOのデビュー。はたまたオレンジレンジのミクスチャーぶりとその後の外野からのパクリ問題による反発。仲間由紀恵から満島ひかりの表層。SPEED。安室奈美恵。
もちろん映画でも異界としての沖縄は幾度も目にする。北野武『ソナチネ』ではすべてを失い、自殺に至る生き死にの境界線上にある場所に選ばれる。前回取り上げた『ポルノスター』の豊田利晃監督も『I'm flash!』にて道理が通用しなくなる場所として描いている、
では早い段階で、沖縄という磁場を反映した映画はなんだったのか?1989年に公開された高嶺剛監督の『ウンタマギルー』がそうなのではないか。あの映画には琉球神話と本土、さらには在日米軍の視点までも絡まることで、磁場が違ってしまった空間としての沖縄がそのまま映像化されている。
続きを読む