スタジオシステムが灰に消えたあとの路上映画録

葛西祝の路上を記録した映画についてのテキスト

90年代終わり 渋谷路上の千原ジュニア『ポルノスター』

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『ポルノスター』(1998)Netflixにて再見

1950年代の映画黄金期以降、日本の映画業界は年々縮小傾向にありました。1970年代には、映画会社が撮影スタジオを経営し、スタッフや役者を直接雇用するというシステムが崩壊。映画人の多くがフリーランスとして活動しなければならなくなったのです。(中略)それまで、映画のスタジオシステムが機能していた時代は、映画会社に入社することで各部署に配属され、撮影や照明、美術といった制作現場に社員として入って行きました。彼らはその技術を現場の先輩達から学んでゆきましたが、スタジオシステムの崩壊によって、技術の継承は途絶えてしまったのです。(日本映画大学WEBサイトより

千原ジュニアがジャックナイフと呼ばれていたころは、今のような活躍をするとは考えられなかった。朝の情報番組にまで出るようになり、MCやひな壇で番組を作るようになった大人の芸人になった現在では、その頃はネタとして擦られるくらいの思い出になっている。当のジュニアもそんな時代を笑って観てるのだろう。

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目にしながら認識しない現実『サウダーヂ』

 

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“1970年代初頭、映画産業の斜陽によって各社は軒並み自社の撮影所を貸スタジオにして独立プロやテレビドラマ、CFの撮影もできるようにし、専属スタッフや俳優も解雇して撮影所システムは崩壊した。”(wikipedia映画スタジオ」)

 

『サウダーヂ』(2011) 

自分の地元周辺にイオンモールが出現した前後から駅前の商店街でもシャッターが目立つようになった。家から200m~500m周辺を散歩するとインド料理店(バングラデシュやネパールから来た方が運営している。)やタイ料理店も目立つようになり、工場近くのコンビニで買い物をしていれば東南アジア周辺から来た人々がその国の言葉で喋りながら飲み物を買っているのを目にする。

 

アジア周辺の様々な人々が身の回りで暮らしはじめているのが目に見えているのだが、その内実がどういうことかははっきりしない。たまにテレビのドキュメンタリーが地方で起きていることを取り上げることもあるが、その社会問題的な編集ゆえに壁の向こう側のことみたいにに見えてしまうことも少なくない。

 

現実に可視化していながらの認識しきれなさ。誰でも自分の住む地元だろうがどれだけ周りを認識できているのか。すぐそばの片隅に個人商店があることを知っているのか。そこで売っているから揚げの味を知っているのか。

 

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